【私ときもの】第1号
- 7 時間前
- 読了時間: 3分

このたび店の季刊誌を発刊しました。写真を撮り、文章を書き、お客様からも文章をいただいています。
このようなものをずっとつくりたいと思っていましたので、念願叶って嬉しいです。
年に数回発行していく予定です。細く長ーく続けたいと思っていますので、お楽しみいただけたら幸いです。

【手描き友禅ー職人の手から生まれる一枚ー】
写真は、4月に開催した附下展でご紹介した一枚です。手描き友禅には、一点一点に手仕事ならではの表情があります。筆の運びや色のぼかしによって柔らかい遠近感が生まれ、日本画のような美しさが生まれます。
一枚の着物が出来上がるまでには、意匠の考案から、白生地への下絵、糸目糊置き、色挿し、地色染め、蒸し、水洗い、乾燥、仕上げ、さらに金彩や刺繍など、多くの工程を経ます。これらが全て国内の職人による手作業です。また、工程は全て分業制であり、それぞれの職人が熟練の技を重ねることで、隅々まで美しいものになります。
手間がかかるからこそ高価になりますが、その分、柄の奥行きや品格が宿ります。知るほどに、きものを見る楽しみも深まっていきます。

【お客様のきものエピソード】
タイトル:着物がつないでくれた祖母との思い出
私が着物を好きになったきっかけは、着物を愛していた祖母の存在です。お稽古やお出かけの際、自然に着物を着こなす祖母の姿は、子どもの頃の私にとって憧れでした。十八歳の時祖母に着付けを教わったことが、着物との本格的な出会いです。最初は小物の名前も分からず、正しい蝶々結びの結び方から一つひとつ教えてもらいましたが、祖母は急かすことなく、理由や意味を添えながら丁寧に向き合ってくれたのを覚えています。祖母はすでに他界しましたが、お茶会の後などに着物姿で会いに行くと、いつも嬉しそうに目を細めてくれました。
祖母はいわゆる山の手風のきっちりとした着付けを好み、私が次第に半襟をたっぷり見せる現代的な着方をするようになると、「それが今の流行なのね」と言いながらも、「ちょっと出しすぎじゃない?若いお嬢さんなのに…」と釘をさされたこともあります。お互いに着物が好きだからこそ譲れず、つい熱が入ってしまう──そんなやりとりも懐かしい思い出です。今でも、襟合わせを整えていると、ふと祖母の声や表情がよぎることがあります。そんな時、私の心はじんわりとあたたかな気持ちに包まれます。

平安note
念願だった季刊誌を発行することができました。インターネットでは様々な情報が見られる時代ですが、私はやっぱり紙の冊子を手に取って、ゆっくりと読む時間が好きです。
3・4月は袷でピンクやクリームの春らしい色、5月から単衣でブルーやグリーンの寒色系、6月後半からは透け感ある夏物、7月からは浴衣と、今は季節の移り変わりがとても楽しいです。盛夏用のカタログも現在制作中です。
近年は暑い時期が長くなりましたが、四季の移り変わりは日本ならではのものです。四季折々の花、季節ごとの行事、陽の長さの変化。十二ヶ月それぞれに景色があり、その時々に似合う色や装いがあります。
この季刊誌のページをめくる時間が、季節を感じながら、きものを楽しむひとときになりますように。
