季刊誌「私ときもの」第2号
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季刊誌第2号を発刊しました!表紙は京都・下鴨茶寮での写真です。

【浴衣】ー洗えて涼しい、夏のおしゃれー
皆さん、最後に浴衣をお召しになったのはいつでしょうか。
近年は猛暑が続き、Tシャツ一枚でも暑い季節に「浴衣なんてとても…」と思われるかもしれません。けれど、綿絽や綿紅梅と呼ばれる浴衣は薄くて軽く、風通しも良いので想像以上に涼しいものです。
綿絽は、ところどころにすき間をつくって織られた生地で、透け感が美しく見た目にも涼やかです。綿紅梅は、太さの異なる糸を格子状に織り込むことで生地の表面に凹凸ができ、肌に張り付きにくいさらりとした着心地が魅力です。
また、綿や麻でつくられた浴衣は、ご自宅でお洗濯ができます。たくさん汗をかいても、夕立にあっても、お食事で汚してしまっても、家ですぐに洗えるのはとても安心ですね。
浴衣は、夏祭りや花火大会だけのものではありません。ちょっとしたお出かけや、季節を楽しむ装いとしても気軽にお召しいただけます。お洗濯の仕方から、着付けや帯結びまで、当店でもお教えしております。
涼しさをまとう、夏の浴衣。今年は浴衣で、暑い夏を楽しんでみませんか。

【家族の歴史を繋ぐきもの】
私と着物との関わりが深まったきっかけは、子どもの卒園式でした。
それまでの私は、着物に対して「特別な日に着るもの」という程度の認識しかなく、自分で着付けをすることなど考えたこともありませんでした。しかし、子どもの卒園という節目の日に、せっかくなら着物で出席したいと思い、着付けを習うことにしました。
母に着付けのことを相談すると、「昔着ていた着物があるから」と勧められ、練習用にと母の大島紬を譲り受けました。着物といえば華やかな訪問着や振袖のイメージがあったため、暗い地色の泥大島は少し渋すぎるのではないかと心配しながら袖を通しました。しかし、訪問着などの柔らかな絹とは違い、シャリシャリと音を立てる大島紬を着ると、なんだか気持ちがしゃんと引き締まりました。地味だと思っていた色や柄も、不思議と自然に自分になじむような気がしたのです。
着物の魅力は、単に美しいだけではありません。母が着ていたものを私が着ることができるように、世代を超えて受け継いでいけるところにあると思います。そこには布地だけでなく、その着物とともに過ごした時間や思い出も受け継がれているように感じます。
今では、7歳の娘が私の着物や小物を見て、「お母さん、それ可愛いね。大きくなったら一緒に使おうね」と嬉しそうに話してくれます。そのたびに私は、「もう少しお姉さんになったらね」と約束しています。
母から子へ、そして孫へ。着物は人と人とを結び、家族の歴史をつないでいく大切な存在だと思います。私にとって着物は、これからも受け継いでいきたい家族の宝物です。

【想いが続いていく、きもの】
先日お茶会に行った際のこと、父が「〇〇先生、お久しぶりです!」と挨拶をしていました。私はお会いしたことのない先生だと思い、「初めまして」とご挨拶したところ、「私、あなたのこと抱っこしたことあるから、初めましてじゃないわよ」とにっこり。あたたかな笑顔とその言葉に、嬉しいようなくすぐったいような気持ちになりました。こうして数十年経てお話ができるのも、祖父や父が長い時間をかけて、お客様との関係を大切にしてきたからだと思います。
また、お客様から「この着物はあなたのお祖父さんから買ったものよ」とか、「あなたのお祖父さんはこんな風だったわね」など教えていただくことがあります。私は会ったことのない祖父の人柄や、祖父が仕入れた商品に出会えるのも、当店が今日まで続いてきたからこそです。
写真の着物は、10年近く前にお茶の先生から譲っていただいた夏の附下です。「この着物はあなたのお祖父さんから買ったけれど、私にはもう派手になって着ないから。あなたに返すわね。」そう言って私に託してくださいました。祖父が亡くなり50年近く経ちますが、今見ても古臭さを感じません。譲っていただいてからは、毎年袖を通すほどお気に入りの一枚です。その先生は数年前に鬼籍に入られましたが、纏うたびに優しかった先生の思い出と、祖父のあたたかさを想像します。そしていつも見守ってもらえているような気がします。
新しい着物には心躍るようなワクワクがあります。そして、譲り受けた着物には心があたたかくなるような力があります。
